【サンプルパック/シンセプリセット】Future Garage

 

Future Garageについて

「Future Garage」は、非4つ打ちのリズムが特徴的で、物静かで幻想的な雰囲気を持ったチルアウト系のジャンルです。

テンポは120~150BPM前後であることが多いですが、もっと遅くなることもあるし、もっと速くなることもあります。

また、ハーフテンポで制作されることも多く、体感では60~75BPM前後に聴こえることが多いです。

 

チルアウト系ジャンルであるため、パッドやアンビエンス、そしてディレイやリバーブなどのエフェクトがふんだんに用いられます。

また、リバーブを深くかけたピアノやアンビエント系ボーカルエフェクトを用いることもよくあります。

ただ、理由は分かりませんが、ボーカルは何故かピッチを下げてVaporwaveみたいな感じにすることが多いです。謎です。

 

ベースにリースベースが多く用いられるのも特徴です。

リースベースと言えば、Neuro Funkでよく聴くニューロベースのようなものを想像される方もいるかもしれませんが…。

Future Garageのリースベースはハイカットされていて、とても柔らかく滑らかな音です。ベースラインの音程をグライドさせるテクニックもよく使われます。

サブベースと似ていますが、LFO由来のうねりがあるのが特徴的です。

 

それから、ドラムの音にフォーリーの音を混ぜるのがほぼ定番になっています。

このフォーリーのガチャガチャした複雑なリズムがとても面白く、聴きごたえのある部分であり、制作においてもセンスが問われる部分です。

特に、スネアが鳴る手前に、逆再生したフォーリーを重ねる手法はよく用いられています。

 

起源ジャンル

Future Garageは「UK Garage」と「2step Garage」というジャンルがその先祖であると言われています。

Future Garageのドラムの刻み方は、完全にUK Garage/2step Garage譲りです。

 

これらのジャンルの違いは、超ざっくりに言うとBPMをそのまま捉えるか、ハーフテンポとして捉えるかの違いです。

UK Garageは120~150BPMくらいの非4つ打ち系ジャンルですが、4つ打ちの曲も存在します。テンポをそのまま捉えた形です。

一方で、2step Garageはそれをハーフテンポにするので60~75BPMくらいに聴こえます。こちらは十中八九、非4つ打ちです。

 

それらが混ざって、Future Garageのドラム系統が形成されたみたいです。

実際、ハーフテンポになったりならなかったり…というのは前述した通りです。

ただし、Future Garageに派生するにつれ、ドラムにフォーリーや細かなパーカッションが重ねられるようになり、多くの場合、UK Garage/2step Garageよりドラムの刻まれ方が複雑になっています。

 

これらUK garage/2step Garageは、一旦ブームが過ぎたものの、あるアーティストの方が「Garageにもまだ未来…Futureがあるはずだ」と考えたのが、このジャンルの起源だと言われています。

「未来のGarage」というより「未来のあるGarage」といったニュアンスだったんですね。

その方は普段から、アンビエント系の要素を組み合わせたGarageを制作していたようで、それが後にFuture Garageと呼ばれるようになった、とされています。

 

類似ジャンル

Future Garageは「Chillstep」というジャンルとよく似ています。

どちらも120~150BPMくらいで、よくハーフテンポになるチルアウト系、という点でかなり似ています。

なかには、完全に「Future Garage=Chillstep」と捉えている方もいるみたいです。

実際、それらのジャンル境界はかなり曖昧ですし、ハッキリ区別する必要もさほどないと思います(音楽は自由が一番なので…)。

 

ただ、あえて区別するとするならば、ChillstepはDubstepから派生しているという点がポイントになります。

ChillstepはDubstepの派生形なので、リバーブやディレイを深くかけたスネアの音が大きな特徴となります。

また、ドラムもFuture Garageほど複雑ではなく、比較的シンプルな印象があります。

とはいえ、Future Garageの先祖であるUK Garageも、Dubstepと関係があるので、やはりどれも似た者同士、といった感じです。

 

ちなみに「Future Bass」や「Future House」とはほぼ関連性がありません。

厳密には、Future BassとFuture Garageは遠い親戚ですが、曲調があまりにも違うので別物と捉えた方が良いと思います。

Future Houseに至ってはマジでほとんど関係ないと思います。Garage Houseというジャンルがあるので100%無関係とは言えませんが…どう考えても別物です。

 

余談ですが、Future Garageのテンポを極端に上げたり下げたりすると「Liquid Drum'n'Bass」とか「Chill Hop」みたいになることがあります。

 

派生ジャンル

これは確証が全く無いのですが、最近イギリスで注目を集めている新ジャンル「Wave」に、少しだけFuture Garegeの面影があります。

Waveは「チルアウト方面に寄っていったベースミュージック」といった感じです。

それゆえ、DubstepやTrap、Grime(UK Garageの親戚)などのベースミュージックをごちゃ混ぜにしてチルく盛り付けしたものだ、と僕は大まかに捉えています。

 

なので、間接的ではあると思うのですが、Future GarageとWaveは少しだけ音楽的な関係があるような気がします。勘違いだったらすみません。

ただ、僕がまとめたプレイリストの多くが「Future Garage/Wave Mix」となっているので、音楽的に似ているというのは確かにあるみたいです。

個人的には「Future Garage+Chill Trap=Wave…???」みたいな偏見を持っています。

 

Future Garageのサンプルパック/シンセプリセット

Future Garageは地味で知名度が低いからなのか、他ジャンル(UK GarageやChillstepなど)のサンプルパックで事足りるためなのか、ジャンルの定義が難しいからなのか、Future Garageを謳って売り出されるサンプルパックは非常に少ないです。

また、Future Garageに使えそうなサンプルパックでも「Future Garage」と明記しているものが少なく、探しづらいという問題もあります。

 

同じく、シンセプリセットも非常に数が少ないです。

Future Garageのシンセプリセットが単体で売り出されることはまずありません。

大抵はサンプルパックとセットで販売されています。

とはいえ、こちらはAmbientやChillout系のシンセプリセットである程度代用可能です。

 

しかし裏を返せば、ここに掲載しているサンプルパックを全て押さえておけば、Future Garageの制作にかなり強くなれるということでもあります。

ちょっと高いですが、現時点では3~4個くらいしかありませんので、セールを狙って買っておきましょう。

確かどれもLOOPMASTERSのサイトで買えるので、各社が一斉にセールを行うブラックフライデーが狙い目ですね。

 

それから、「フォーリー系のサンプルパック」「エレクトロニカ系のサンプルパック」「ドラムの音が複雑なアンビエント、チルアウト系サンプルパック」もチェックしておくと良いと思います。

どれもFuture Garageにかなり応用できます。特にフォーリーは大事です。フォーリーのループ素材が入っているサンプルパックも非常に役立ちます。

 

BLACK OCTOPUS

BLACK OCTOPUS「Stratosphere by Elliot Berger」

https://sonicwire.com/product/A9255

https://sonicwire.com/images/box_l/RSDL467.jpg

 

洗練されていて高品質、しかし何故か170BPMまで跳ね上がるサンプルたち…

普通のFuture Garageに飽きた上級者にもお勧めしたい変化球サンプルパック

 

ジャケットの真ん中に「Future Garage」って書いてあるのに、Sonicwireでは「フューチャーベース向けサンプルパック!」と紹介されている可哀想なサンプルパック。

でも、現状Sonicwireで購入できる、唯一のFuture Garage向けサンプルパックでもあります。とても貴重です。

さらに、サンプルだけでなく、Serumのシンセプリセットも付いてきます。Future Garage向けのシンセプリセットも超レアです。

 

LOOPTONE

LOOPTONE「Deepest Blue Chilled Garage」

https://sonicwire.com/product/A3609

https://sonicwire.com/images/box_l/LTNDL014.jpg

 

あくまで「Chill Garage」であってFuture Garageではない微妙な立ち位置…

ただ、Future Garageを専門で作るならコレクションに入れる価値あり

 

Future Garageを意識してるのかしてないのか、よく分からないサンプルパック。

一応Sonicwireにも置いてありますが「…なんかFuture Garageっぽくねぇなぁ?」感があるので、ひとまず黒タコのサンプルパックを「Sonicwire唯一のFuture Garageサンプルパック」としておきます。

 

Sonicwireには、ジャケットだけ違う同名同メーカーの製品が並んでいますが、そちらは多分旧バージョンだと思われます(https://sonicwire.com/product/A3534)。

中身は多分同じ…?流石に買って中身をチェックするのはやりたくないですね…Sonicwireに問い合わせれば何か分かるかも。

 

PRODUCTION MASTER

PRODUCTION MASTER「Landscapes - Experimental Garage」

https://www.loopmasters.com/genres/60-Garage/products/11796-Landscapes-Experimental-Garage

https://x3i4u3r4.stackpathcdn.com/wp-custom-content/uploads/2020/07/landscapes-500.webp?w=400&ext=jpg

 

サンプルもシンセプリセットもバリエーション豊富でとっても良い音色

Future Garageに慣れてきた中級者の心強い味方、もちろん初心者にもぴったり

 

Experimental(実験的)と書かれていますが、普通にFuture Garageのサンプルパックです。Experimentalと言われるとキワモノ系を想像しがちですが、至って普通のサンプルパック。

リリースされて間もないので、まだSonicwireには並んでいません。

早く並ぶと良いですね(僕は待てなかったのでLOOPMASTERSで買いました)。

ちなみにこの子もLOOPMASTERでFuture Bassタグを付けられていました。もうなんか…救いようがないというか…。

 

ZENHISER

ZENHISER「Future Garage」

https://www.zenhiser.com/products/future-garage-sounds?_pos=2&_sid=faf7f6b23&_ss=r

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0270/6109/2423/products/future-garage-sounds-zenhiser_600x.jpg?v=1586253560

 

シンセプリセット入っていないし高いけど、ほぼ最強の最終兵器

コンストラクションキット入りでFuture Garage初心者に最適

 

唯一「Future Garage」と大々的に名乗り出ているサンプルパックです。

実際、とても品質の高いFuture Garage素材が揃っています。

ZENHISERのサンプルパックはSonicwireに結構置いてあるのに、何故かこいつだけ置かれていません。仲間外れ。村八分。なんだか哀れ。

 

 

 

 

 

【サンプルの質】 低い   ☆☆☆☆    高い

【サンプルの量】 少ない  ☆☆☆☆    多い

【方向性】            アングラ ☆☆☆☆ ポピュラー

【製品の値段】  高い   ☆☆☆☆    安い

【デザイン】   しょぼい ☆☆☆☆ かっこいい